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November 04, 2004

ニッポンを斬る10 安易な混合診療の解禁は危険

規制改革・民間開放推進会議がいわゆる「混合診療」の解禁を強く打ち出している。言うまでもなく、混合診療とは保険診療と保険外診療を併用する医療のことで、現在の医療保険制度のもとでは原則的には禁止されている。しかしながら、「特定療養費」の制度の下で併用が認められている行為もあり、その代表例として、「高度先進医療」や患者の意思によって利用される病院の「差額ベッド」等がある。
小生はこうした一定のルールに基づく「混合診療」の拡大を進めていくことは確かに患者の利になるが、安易な解禁は危険であると考える。
規制改革・民間開放推進会議は、まず、こう主張する。『そもそも医療とは患者と医師の自由な契約に基づき提供されるものであり、その提供される医療の範囲と、保険給付の対象とされる医療の範囲とは別次元・独立の問題として捉えられるべきである。』この指摘はある面において正しい。従って、保険診療においては通常の医師・医療機関ではなく、「保険医」、「保険医療機関」によって実施されており、診療の記録も保険診療とそれ以外の診療を区別して記録しなければならないこととされている。問題は、次の記載である。
『医療保険は社会保険制度であり、国民の支払う保険料を財源として給付範囲を決定するものであり、限られた予算制約下において、すべての医療を保険給付の対象とすることは合理的でなく、また、どの範囲の医療を公的に負担するかについては、それ自体として独立して決すれば足りるのであって、このことといわゆる混合診療の是非とは関係がない。』
ここで言う、『すべての医療を保険給付の対象とすること』が合理的でないのは、医療行為というものの中には、医療界一般の通念上妥当性を欠くものも含まれることから、そうしたものを排除することが必要であるからであって、決して「予算制約」のためではない筈である。
百歩譲って、予算の制約があって国民に必要な(=医療界の通念上妥当な)医療給付に制限を加える必要があるとしても、それは医療自体の給付を制限するのではなく、給付率の調整によって行われるのが通常の手法ではないだろうか。それとも規制改革・民間開放推進会議の面々は国民にとって必要な医療が「予算制約」によって受けられないことを国民が是認していると認識しているのであろうか。あるいは、「予算の制約」を至上命題としているグループにマインドコントロールされているのであろうか?(行為に制約を課することが不適当としているにもかかわらず、予算の制約は安易に認めている姿勢は笑止千万である。)
従って、混合診療の是非と保険給付の対象については、密接不可分な関連があるものであり、このことを切り離して論じることはできない。
さらに言えば、『当会議としては、適切な情報開示の下で、一連の診療行為において保険診療と保険外診療の併用を患者自らの自由で確定的な意志に基づき選択する場合には、それを可能とすることが「患者本位の医療」の実現に不可欠であると考えている。』との主張も少々問題がある。
この指摘をそのまま読めば、例えば睡眠剤の投与を受けている患者が患者本人の確定的な意思によって致死量の睡眠剤の処方を選択した場合それを可能とすることさえ読める記述であり、こうした記述が到底受け入れられないことは自明である。従って、『適切な情報開示の下で』だけではなく、『一定の制約の下で』行う必要があるわけである。

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