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January 23, 2006

「悪循環の現象学」を読む(&JRA賞の社会学的分析)

『「行為の意図せざる結果」をめぐって』という副題に惹かれ、思わず手にとってしまった「悪循環の現象学」という本を読んだ(正確に言うとナナメ読みした)。この本で言う「行為の意図せざる結果」とは「ある目的に向かって努力すればするほどかえって目的から遠ざかってしまう現象」を指すらしい。小生など、毎週そのことの繰り返しである。この「行為の意図せざる結果」というのはそれから逃れようとすればするほどその結果に陥るという悪循環を呈するものらしい。ではそれから逃れる方法はないのかというと「行為の意図せざる結果」そのものを実行しようとすることによって逃れられるというのが結論らしい。
こうした概念を提唱したマートンによると「自己成就的予言」と「自己破壊的予言」というものがあるそうだ。「自己成就的予言」とは、最初の誤った状況の規定が新しい行動を呼び起こし、その行動が当初の誤った考えを真実なものとするような社会的現象をいう。言い換えれば、「キルトクール」に指名した馬が本当に来ないと信じ込んでしまうということか(^^)。
一方、「自己破壊的予言」とは、もし予言がなされなかったらたどるであろうコースから人間行動を外れさせ、その結果予言の真実さが証明されなくなるような現象をいうらしい。こちらの方は、「キルトクール」に指名すると「ドンガバチョ」確実だから指名を止めてしまおうという動きというわけだ。さらに、この本では、「アル中」の夫とそれを制止しようとする妻の働きが関係性を持てば持つほど、夫はアルコールに依存し、妻は制止に向かう。そのことで更に関係性が維持されるということについても言及している。
このように、社会学的関連性から世間の事象の分析を試みると面白いものがある。そこで、ちょっと気になっているのが、JRA賞における「最優秀2歳牡・牝馬」の取り扱い。2005年度においても、フサイチリシャール号、テイエムプリキュア号が受賞したが、維新ファームさんの、平成以降のJRA賞データベース によると、最優秀2歳(3歳)牡馬は、04マイネルレコルト、03コスモサンビーム、02エイシンチャンプ、01アドマイヤドン、00メジロベイリー、99エイシンプレストン、98アドマイヤコジーン、97グラスワンダー、96マイネルマックス、95バブルガムフェロー、94フジキセキ、93ナリタブライアン、92エルウェーウィン、91ミホノブルボン、90リンドシェーバー、89アイネスフウジンとすべて朝日杯の勝者が獲得し、最優秀2歳(3歳牝馬も、04ショウナンパントル、03ヤマニンシュクル、02ピースオブワールド、01タムロチェリー、00テイエムオーシャン、99ヤマカツスズラン、98スティンガー、97アインブライト、96メジロドーベル、95ビワハイジ、94ヤマニンパラダイス、93ヒシアマゾン、92スエヒロジョウオー、91ニシノフラワーと阪神JF(3歳牝馬)の勝者が獲得し、それ以外では90ノーザンドライバー(デイリー杯3歳S、ききょうS)、89サクラサエズリ(京成杯3歳S、カンナS)の2頭にとどまっている。これはどうしてかというと、90年以前は阪神3歳Sとして牡馬も出走できたためだろう。(牝馬では90年はミルフォードスルーの3着、89年はコニーストンの6着が最先着)
これなど、投票を行った記者の行動パターンを解析すれば「2歳のGⅠ競走は一つづつしかない→その勝者が2歳の代表→勝馬に投票」という思考回路が毎年繰り返されている訳だろう。その回路からすると「最もふさわしい馬」を選んでいる筈なのに、それが「そうではないのではないか」という批判を受けるという『行為の意図せざる結果』を産んでしまっているのである。
本来JRA賞の投票資格は「一定の経験を有する競馬記者」になっている筈で、そういう人物であれば、自分の選択した馬についてその理由を語る見識を有していると思う。(自分の投票結果についての公表が禁じられているとしても、受賞の事実は公表されているわけであるから、それについての論評は可能であるし、文筆を生業とする人間であれば、一定の制約があったとしてもその制約下で書くことはできるだろう。)したがって、GⅠ勝ち馬に拘ることなく、自分の見識で「最優秀」な馬を選べばよいだろう。逆に言えば、そうした見識を有していないのかという疑念さえ出てしまうことになる。
エルコンドルパサーの例を挙げるまでもなく、2歳GⅠを取った馬以外が受賞するとしたら、海外のGⅠで好走した馬が出た時であろうことは容易に想像つくが・・・。

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