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June 07, 2006

「ウ゛ィシー政権」を読む

1940年から1944年までの間、フランスは事実上ナチスドイツの支配下におかれた。
この時存在したのがウ゛ィシー政権である。
この政府のことは、フランスでも語られることは少なくおそらく本書が我が国に紹介される初めての本格的な書物ということである。

ウ゛ィシー政権が成立したそもそもは、1940年6月にフランス首相に任命されたペタン元帥がただちにドイツとの休戦協定を締結したことに始まる。その際のドイツ側の条件は、フランスの北半分をドイツが占領すること、フランス軍の兵器・物資をドイツ軍に引き渡すこと、占領経費
はフランスが負担することなどであり、一方で占領地区を含むフランス全土の行政権は、フランス政府が持ち、植民地の権限も従来通りで主権国家として何等変更はなかったという。このため、占領地区ではない、フランス中部の小都市ウ゛ィシーに政府が設けられた。
ところが実際には、ドイツの干渉はしばしばあり、しかもその結果を自らの判断のように遂行したところに問題があった。
また、第三共和制を葬りさったにもかかわらず、その根幹たる憲法に変わる新憲法の制定を行わなかったことが、後に「クーデター」として断罪される一因となった。
もし、この時に新憲法を制定していれば状況は、今日の日本と同じであったのかもしれない。
しかしながら、この政権に対し英国を除く主要国は承認を与え、アメリカ、ソ連、バチカンは大使の任命すら行った。

この政権はナチへの協力、ユダヤ人排斥、議会制民主主義の否定等陰の部分が語られることが多いが、官僚万能主義、計画経済、中間管理職のみの労働組合の存在など今日のフランスにおいて連綿と続いている事もこの政権を嚆矢とするようだ。

結果的にナチスに汲みし、民衆を抑圧した罪は重いのかもしれないが、ペタン元帥の戦争早期終結の思い自体は間違っていたとは言えないのではないだろうか。
ドイツに迎合したとはいえ、枢軸国入りした訳ではなく、事実イタリアには強気に対応したようだし、日本の仏印進駐も阻止すべく努力したようだ。

しかし、情けないと思うのは一部知識人の行動である。ヴィシー政権時代にペタン元帥を賛美する論を張った人物が解放後はゴール将軍に対する賛辞を臆面もなく記しているそうだ。
(本書では、具体的氏名としてポール・クロデル、フランソワ・モリアック、ポール・ヴァレリの名を上げている)

なかなか読み甲斐のある本といえよう。

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