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July 05, 2006

「勝つためのゲームの理論」を読む

ゲーム理論は、社会制度の研究にも取り入れられているそうだ。
しかし、本書ではゲーム理論の基本である「囚人のジレンマ」から解き明かしている。
判断事が一回だけだと双方の期待利益が最大となる強調行動を取らず、自己の利益が高い裏切り行動を取ることが多いという。
しかし、判断事が多数になり、参加者が増えてくると最も安定した判断は初回は協調的にふるまい、二回目以降は前回の相手と同じ行動を取る「しっぺ返し戦略」だという。この戦略の要点は以下の通りである。
・ 自分からは裏切らない。
・ 相手の裏切りには、即座に反応する。
・ 相手が協調してきたら即座に協調する。
・ 単純明快である。
・ 関係を長く続ける。
・ 相手を間違わない。

なんか外交交渉みたいだなぁ。
この「しっぺ返し戦略」は、相手から容易に強調を引き出し得る反面、ゲームにおける得点は多いものの勝敗との関係はないという問題があるようだ。
ということは、競馬のように的中率より回収率が重視されるようなゲームには向いているのかもしれない。
(もっとも、競馬の場合は青手が協調的に対応する訳ではない)
ただそもそも「囚人のジレンマ」は一対一の戦いの際の考え方であり、社会全体に適用可能なものとは言えない。
社会全体に適用しようとしたのが「共有地の悲劇」理論だという。
これは、共有地たる牧草地に羊を飼う農民が収入を増やそうとするには、羊を増やすことが必要である。しかし、皆が自己の利益のために同じことをしようとすると牧草地が手狭になり、羊が痩せてしまうので地域全体の収入は減少する。
このように、個人が利益追求のための行動を取ることがエスカレートすると社会全体の不利益になるということがわかる。
では、このような状況下で多くの相手と同時に戦った時に生き残る戦略は何かというと、最も成功するのは、最初は協調し、二回目からは、前回過半数が裏切ったら裏切りを選び、そうでなければ協調を選ぶという「しっぺ返し戦略」の変法だったという。
なんのことはない。これは民主主義における多数決の原理そのものである。

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