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August 30, 2007

三たび馬インフルについて もくにの馬シカ帳(11)

馬インフルエンザについて、考える際には、法制面、公衆衛生面、経済面といったさまざまな角度から検討していくことが必要なんだろうと思う。

1 法制面(家畜伝染病予防法)
家畜伝染病予防法は、「家畜の伝染性疾病の発生を予防し、及びまん延を防止することにより、畜産の振興を図ること」を目的としている(法1条)。
伝染病の種類によって、「家畜伝染病」と「届出伝染病」に区分され、馬インフルエンザは届出伝染病に分類されている(施行規則2条)。
家畜の所有者は、伝染性疾病の予防のための消毒その他の措置を適切に実施する努力義務が課せられている(法62条の2)。
さらに、競馬の開催者に対しては、その開催中、家畜診断所、隔離所、汚物だめ等伝染病の発生を予防するために必要な設備を備えなければならないこととされ、さらに、家畜診断所において伝染病にかかっていないと診断された家畜以外の家畜を隔離所以外の場所にけい留させてはならないこととされている(法12条)。

 こうした、規定から考えると、今回JRAが講じた措置は、
競馬の開催→家畜伝染病でないこと。
陰性馬のみによる競馬の実施→伝染病にかかっていないと診断された家畜による対応。
馬の移動制限→伝染性疾病の予防のための措置。
といったものであり、基本的には家畜伝染病予防法で説明できる合理的な措置と言えよう。

2 公衆衛生面
公衆衛生面での検討は、ワクチンの効果、隔離の必要性ということだろう。
1)インフルエンザワクチンの効果
馬のワクチンはどうか知らないが、ヒト用のインフルエンザワクチンについては、添付文書が公表されている。例えば、化血研というところが作ったワクチンの添付文書によると、「15~17歳の少年でワクチン非接種群では、27.5%が感染したのに対し、ワクチン接種群においては、約1/5の5.5%の罹患率が算定され、この時のワクチンの有効率は80%であった。」また、「ワクチンを3週間隔で2回接種した場合、接種1ヵ月後に被接種者の77%が有効予防水準に達する。接種後3ヵ月で有効抗体水準が78.8%であるが、5ヵ月では50.8%と減少する。効果の持続は、流行ウイルスとワクチンに含まれているウイルスの抗原型が一致したときにおいて3ヵ月続くことが明らかになっている。」とある。ヒトの場合、ワクチンを打っておくとかなりの確率でインフルエンザの予防はできるが、一方で、流行そのものは抑制できない。この状況はおそらく馬のワクチンにおいても同様だろう。従って、一定の感染馬、発症馬がいるとすれば、健康馬と切り離すことは合理的な理由があるものと考えられる。

2)隔離の必要性
 ワクチンにより、発症予防はできても、感染防止はできないということであるならば、蔓延防止のためには隔離という処置もやむを得ないことといえるのではないだろうか。

3 経済面
 言うまでもなく、競馬はギャンブルであり、3兆円産業であることから考えれば、経済面からみても、何としても興行をしなければならないという必然性があったことは容易に想像が付く。
しかしながら、これほど国際ルールとは異なるローカルルールを押し貫いているJRAが馬インフルエンザに関するお知らせの中で、「世界共通のルール」を謳っているのは笑止千万ではないだろうか。
 一方、今回中止されたレースの中で、秋になると出走制限があり、出られない馬が相当数でてくることから、3歳未勝利21レースの取り扱いが問題となろう。まぁ、なんらかの代替開催をするんじゃないだろうか。

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