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August 16, 2007

なぜタイトルは長くなるのか――教養なき支配システムへの警鐘(1)

当ブログでは、これまで「教養の欠如」が我が国の支配システムを揺るがしていることに警鐘を鳴らしてきた。しかし、教養とはいかなるもので、それをどのように身につけ、実践していくことが我が国の支配システムを改革していく上で必要であるかという具体論についてはこれまで言及してこなかった。
そこで、こうした点について、何回かにわけて論じてみようと思う。

「教養」とは何か
 初めに「教養」とはどういうものであるかということについて述べることとしよう。私は「人としてのけじめ、即ちやっていい事といけない事の境目・区別を身につけること」が教養であると考えている。このことは、世間一般に「教養のある人」というように使われている語感と本質的には同じであると思うが、人が社会の中で生きていく上では一定の制約がある。こうした制約即ち囲いの中で生きていかねばならないわけで、こうした制約を知ることが大事なのではないだろうか。この「囲い」という考え方は西洋でも普遍的に行われているようで、その証拠として、囲いの中にいない人のことを「迷える子羊」などと比喩している。また、この制約というものは絶対的かというと必ずしもそうではなく、時代背景や個々の事情によって変わることがある。しかし、土地に境界があり、国に国境があり、社会生活に法令があるという枠組み自体は不変であろう。こうした普遍的なもの、フレキシブルなものを見極めていくためにも、これまでの人類の叡智や物事の普遍的な原理・原則を理解するといった、しっかりとした知識が必要となるわけである。
即ち、ここに教養への第一歩としての「教育」の意義があることになる。しかし、ここで間違えてはならないのは、教育はあくまでも教養を身につけるための手段の一つであって、それ自体が目的ではないということである。「教養教育の充実」を主張する人々の中には、目的と手段を(半ば意識的に)取り違えている人もいるような気がする。平成14年2月に纏められた、中央教育審議会の「新しい時代における教養教育の在り方について」も理念は共感できるものの、その提言は大学における教養教育の復活という印象を受けてしまう。
「ペンは剣よりも強し」の新解釈
The pen is mightier than the sword.人口に膾炙した言葉ではあるが、この言葉を「教養」の視点から解釈してみると、『武力では相手を屈服させることはできても真に相手を自分のものとして取り込むことはできない。しかしながら、知の力を持って相手に接すれば、相手の考え方を変えることができる。そういう意味で真の勝利者とは武力ではなく知力である。』ということができるのではないか。従来の解釈と変わらないじゃないかという声も聞こえてきそうだが、そうではなく、武力と知力を対立概念で捉えがちな解釈に疑義を呈してみたものである。
この言葉について調べていくうちに、この言葉の原典が19世紀に書かれた英国の作家エドワード・リットン(満州国の調査で有名なリットン卿は彼の孫だそうだ。)の「リシュリュー」という戯曲にあるものだとわかった。このフレーズのある文章は、“ True, This! ? Beneath the rule of men entirely great, The pen is mightier than the sword. Behold The arch-enchanters wand! ? itself a nothing! ? But taking sorcery from the master-hand. To paralyse the Caesars, and to strike. The loud earth breathless! ? Take away the sword ? States can be saved without it! ”というものらしい。
19世紀!? じゃぁ、日吉のキャンパスに書いてあったラテン語は何なんだろう。
(続く)

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